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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Read 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 188,242 characters · 380 screens
道鬼山本勘助殿も、さよう申されておりました」
「何んの」と信玄は嘲笑うように、「謙信はともかく氏康なんど、一蹴するに手間暇いらぬ。道鬼を呼べ! 道鬼を呼べ!」
「それに道鬼殿は一心こめて、戦車考案中でございます」
「うん、それも知っている。が、急場の役には立たぬ。源五郎行って呼んで来い!」
「は」と源五郎は小走って行った。
その時大きな笑い声がした。
信玄は吃驚してそっちを見た。快川長老は笑っていた。
「殿」と長老は揶揄するように、「徐如レ林、どうやらそろそろこの文句が、役に立たなくなりましたな」
「なぜな?」と信玄は怪訝そうに訊いた。
長老はいよいよ揶揄的に、
「殿の様子を見ていると、火の子が懐中へはいったようでござる。クルクルクルクル廻わっておられる」
信玄は不機嫌な顔をした。だがいささかテレたようであった。
「それほどの大事だ、周章てるが普通だ」
「周章てて何んになりますな」
長老は益々揶揄的になった。
七
信玄は頬をふくらませた。脂肪太りの垂頬が、河豚のようにプッと脹らんだ。
突然彼は吠えるように云った。
「憎い奴だ! 火柱奴! 鉄砲足軽百人を出し、撃って取ろうとしたところ、狙うことさえ出来ないそうだ。