Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,562 characters · 291 screens
六
「六十以上の年寄りがかい」
「年を取ったってやはり男で」
「まアいい。今晩は桶屋の近所に見張っていて、久兵衛が出たらその後を跟けてくれ」
平次は気を変えたようにこう言います。
「出かけるでしょうか」
「きっと出る。それも夜中じゃない。更けると目立つから、お通夜の中から抜出して、宵のうちに行くに違いない」
「ヘエ――、八卦みたいだね」
「これが当ったら、十手捕縄をお上へ返して、算木を持って辻へ立つとしようか」
「似合いますよ。銭形堂の平斎なんてえのは」
「ハッハッハッ」
二人は声を合せて笑いました。
六
日の暮れるのを待ち兼ねて、ガラッ八は、三崎町へ廻りました。
間が抜けているようでも、稼業柄思いのほか忍びは巧みで、桶屋の前の路地に潜んで、木戸の蔭から、久兵衛の家の裏表を見張っているのを誰も気がつきません。
お経や百万遍や、賑やかな通夜が始まって、灯は往来までこぼれている中を、
「おや?」
ツイと出た人影があります。四方を見廻して表へ出ると、五六軒先の出羽屋の木戸へ、大きな鳥のように、ヒラリと姿を隠したのです。
続いて入ろうとしたガラッ八は、
「…………」
木戸の外へ、強い手でグイと押戻されました。