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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,562 characters · 291 screens
八
帰りにはお内儀さんも一緒かもわかりませんから」
平次は八丁堀へ飛びました。由兵徳と金蔵だけでなく、島で与市に逢った、治郎助からも指の事を確かめておきたかったのです。
「親分。あの指が与市のじゃ、無駄骨折じゃありませんか」
「…………」
「下手人が島で死んで、からかい面に死骸を掘らせたんでしょう」
ガラッ八は平次の後ろから、こんな事を言います。
「黙っていろ。筋はこれから面白くなるんだ」
「ヘエ――」
八
平次が八丁堀から升屋へ帰ったのは、その晩の子刻過ぎでした。昨夜も一睡もしないのに、大した疲れた様子もなく、手掛けた事件を、一気に片付けようとするのでしょう。
お蔦は手続が遅れて、今晩連れて来るわけには行かなかったそうですが、――
「その代り、素晴らしい事を聞込みましたよ」
平次はこう言いながら、少し有頂天に手を揉んでおります。
「どんな話です。親分」
と由兵衛。
「治郎助が言うんです――与市は苦しい息の下から、――井戸の中には升屋が引っくり返るような物があるが、あんまり吃驚してぞんざいに見るな。その品の下には、もう一つ、人一人の命に関わる品があるぞ。大事な大事な証拠だ。