Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,562 characters · 291 screens

Aozora Bunko

八

「嘘だ」

「いや嘘じゃねえ」

「俺の手拭を盗んで、誰かお寺の方へ投り込んだんだ」

「そんな事があるものか、――お前が忍び返しを外して、寺へ逃げ込んだ――と思わせて何の役に立つ、現にお前は自分の家にいたじゃないか」

平次の明察は畳みかけて竹の市の口を塞ぎます。

その時ちょうど、庚申横町の竹の市の家を捜させた、下っ引の勘助とガラッ八が帰って来ました。

「親分、縁の下の植木鉢の中と、押入の天井に、小判で百五十両隠してありましたよ」

「あッ」

ザラリと畳の上へ並べた小判。

「これでもただの按摩か、――千里の虎――ともあろうものが未練だぞ、白状せい」

平次は竹の市の驚き呆れる肩に手を掛けました。

八

それから四半刻(三十分)ばかりも、竹の市を責めてみましたが、何としても、「千里の虎」だとは言いません。

が、とにかく、近頃の大物で、番所へ止め置くわけにも行かず、平次、ガラッ八、勘助の三人で、数寄屋橋まで送ろうと言う時、

「た、大変ッ」

町の若い者が二三人転がるように飛込んで来ました。

「どうした、騒々しい」

「角の米屋へ押込が入りました」

「えッ」

「俺は『千里の虎』だ、と威張り返って、有金十五両盗った上、手向いする手代を斬って、どこともなく逃げてしまいました」