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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,562 characters · 291 screens

Aozora Bunko

六

使いの手代に訊くと、前の毒薬は、田原屋から出たのではないと申しますが――」

「なるほど、それでは考えなければなるまい。毒薬を包んだ薬包紙があるだろう」

「それも見えません。先程までここにありましたが――」

平次は新兵衛の顫える顔を見やりました。

「それでは下手人は家の中に居るわけだ。――離屋へ薬を持って来たのは誰だ」

「私で――」

新兵衛の顔の蒼さ。

六

母屋へ引揚げて、同心南沢鉄之進は、平次と二人額を鳩めました。

「疑えば、皆んな変な人間ばかりでございます。一人ずつ呼んで訊ねてみましょう」

「そうするがいい。最初は誰だ」

「婿の儀八から願います」

儀八は間もなく、南沢鉄之進と平次の前に引出されます。

「儀八、近頃賭場へ行くそうだな」

顔を合せると、平次はいきなり取って置きの疑問を叩きつけました。

「とんでもない、親分さん。――以前は楊弓に凝ったこともありますが、近頃は賭事と名のつくものは、子供の玉ころがしも振り向いて見ないようにしております」

「それは感心なことだ。――が、喜平旦那が死ぬ半刻前までそれを気にしていたよ。誰が一体そんな事を喜平に焚きつけたんだ」

「一向にわかりません」