Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,562 characters · 291 screens

Aozora Bunko

「呼んでみるがいい」

南沢の許しを受けると、儀八を若い手先に預けて、今度は番頭の新兵衛を呼出しました。

「番頭さん。なんだってお前は、婿の儀八が博奕を打つなんて、ありもせぬ事を大旦那に焚きつけたんだ」

平次はのっけからこの調子でした。あまりに多勢の容疑者の中から、一刻も早く本当の下手人を嗅ぎ出さなければ、事件は外貌が簡単なだけに、かえって際限なく混乱して行きそうだったのです。

「とんでもない。――それは田原屋さんでございますよ」

「何? 田原屋? どうしてお前さんはそれを知っているんだ」

「大旦那と田原屋さんが、四五日前から、コソコソ話し合っておりました。聴くともなしに聴くと、そんなお話で――。もっともお二人は無二の仲で、何でも打ち明けておいででした」

「フーム、それなら、お前はこの盆の帳尻は、どう合せる積りだったんだ。よっぽど費い込みがあるようだが――」

「何とも申訳がございません。大旦那が生きても死んでも、誤魔化す積りは毛頭ございません。伯父に相談をして、何とかいたします」

番頭の新兵衛は見事に平次の舌に引っ掛りました。ブルブル顫えている、気の小さい様子を見ただけで、儀八と違って、どんな言葉の罠へも陥ちるだろうと見当をつけたのです。