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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,562 characters · 291 screens
兵庫の野郎に腹を切らせて、あの邸にペンペン草を生やさなきゃア、胸が治まらねえ」
浅五郎は全く本気で言うのですから、手の付けようがありません。
「馬鹿な事を言え。お前にあんな器用なことが出来るものか、あれは楊弓の名人の仕業だ」
平次は相手になりません。
「親分、そんな情けねえ事を言って貰いたくねえ。あれは紛れ当りだ」
「そんなに都合よく紛れるものか」
「一生懸命になりゃア、俺だって、畜生ッ」
「駄目だよ浅五郎。そんな事で平次は騙せねえ。出直すがいい」
「よし、それじゃ頼まねえ。銭形の、平次のと言うから、もう少し判る人間かと思や、何でえ」
「帰れ帰れ」
「帰らなくってさ。これから南の御奉行所へ駆け込み訴えだ」
「馬鹿な事をしちゃアならねえ」
平次は驚いて飛出しました。入口で浅五郎を捕まえるのが精一杯。
「放してくれ、親分に用事はねえ」
「それほどまで思い詰めたのなら相談に乗ってやろう、まず入って坐れ」
「有難え。それじゃ突出して下さるか、親分、やくざ者が三千五百石の大旗本を背負って行きゃア本望だ。三尺高え木の上から上総房州を眺めて、浄瑠璃を語ってみせるぜ、親分」
浅五郎は少し有頂天です。