Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Read 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 150,635 characters · 306 screens
これは県権令の富岡敬明が、最初、谷将軍へ詰問したところである。
同様な異論は、当然、幕僚のあいだにもあった。
――が、谷将軍には、正しい理由と信念があった。
「鎮台兵は皆、徴兵の制で集めた民兵である。百姓商人の子弟でまだ訓練も充分でない。精鋭な薩南の兵と戦ってひとたび潰乱したら殆ど脱走してしまうだろう。退いて鎮台を守るとなってはすでに遅い。――しかも征討総督の海陸軍は、まだ遠い神戸の埠頭にあって、その到着を遽かに待つことはできない」
近くの小倉聯隊へも、援軍を急派せよと、電信は打ってある。それに対して、聯隊長心得の乃木希典少佐から、第三大隊と第一大隊とが出動して、もう久留米まで進んでいるという返電はあった。しかし薩軍が全力でそれを阻めることは目に見えているので、果たして鎮台へ合体できるか否かは、聯隊の兵力ぐらいでは多分に疑問としなければならなかった。
孤塁。
恃むはただ、二千五百八十名の鎮台内の者が、一心一体となって、命を国土に帰すという心になりきることしかない。それしか恃むものはない。
「開戦に前だって、火災に罹ったのは、ともすれば他を恃みたくなる雑念を焼き払って、一層、われわれの信念を強固にしてくれたようなものだ。