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しゅんちゅう 

春昼・春昼後刻

泉 鏡花

Read 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 51,079 characters · 102 screens

Aozora Bunko

七

はははは、」

「お羨い御境涯ですな。」

と客は言った。

「どうして、貴下、さように悟りの開けました智識ではございません。一軒屋の一人住居心寂しゅうござってな。唯今も御参詣のお姿を、あれからお見受け申して、あとを慕って来ましたほどで。

時に、どちらに御逗留?」

「私? 私は直きその停車場最寄の処に、」

「しばらく、」

「先々月あたりから、」

「いずれ、御旅館で、」

「否、一室借りまして自炊です。」

「は、は、さようで。いや、不躾でありまするが、思召しがござったら、仮庵室御用にお立て申しまする。

甚だ唐突でありまするが、昨年夏も、お一人な、やはりかような事から、貴下がたのような御仁の御宿をいたしたことがありまする。

御夫婦でも宜しい。お二人ぐらいは楽でありますから、」

「はい、ありがとう。」

と莞爾して、

「ちょっと、通りがかりでは、こういう処が、こちらにあろうとは思われませんね。真個に佳い御堂ですね、」

「折々御遊歩においで下さい。」

「勿体ない、おまいりに来ましょう。」

何心なく言った顔を、訝しそうに打視めた。

七

出家は膝に手を置いて、

「これは、貴下方の口から、そういうことを承ろうとは思わんでありました。