Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しゅんちゅう
春昼・春昼後刻
泉 鏡花
Read 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 51,079 characters · 102 screens
十四
。
通り縋ると、どうしたのか、我を忘れたように、私は、あの、低い欄干へ、腰をかけてしまったんです。抜けたのだなぞと言っては不可ません。下は川ですから、あれだけの流れでも、落ちようもんならそれっきりです――淵や瀬でないだけに、救助船とも喚かれず、また叫んだ処で、人は串戯だと思って、笑って見殺しにするでしょう、泳を知らないから、)
と言って苦笑をしなさったっけ……それが真実になったのでございます。
どうしたことか、この恋煩に限っては、傍のものは、あはあは、笑って見殺しにいたします。
私はじめ串戯半分、ひやかしかたがた、今日は例のは如何で、などと申したでございます。
これは、貴下でもさようでありましょう。」
されば何んと答えよう、喫んでた煙草の灰をはたいて、
「ですがな……どうも、これだけは真面目に介抱は出来かねます。娘が煩うのだと、乳母が始末をする仕来りになっておりますがね、男のは困りますな。
そんな時、その川で沙魚でも釣っていたかったですね。」
「ははは、これはおかしい。」
と出家は興ありげにハタと手を打つ。
十四
「これはおかしい、釣といえば丁どその時、向う詰の岸に踞んで、ト釣っていたものがあったでござる。