Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しゅんちゅう 

春昼・春昼後刻

泉 鏡花

Read 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 51,079 characters · 102 screens

Aozora Bunko

五

巡礼たちが霊魂は時々此処に来て遊ぼう。……おかし、一軒一枚の門札めくよ。

五

一座の霊地は、渠らのためには平等利益、楽く美しい、花園である。一度詣でたらんほどのものは、五十里、百里、三百里、筑紫の海の果からでも、思いさえ浮んだら、束の間に此処に来て、虚空に花降る景色を見よう。月に白衣の姿も拝もう。熱あるものは、楊柳の露の滴を吸うであろう。恋するものは、優柔な御手に縋りもしよう。御胸にも抱かれよう。はた迷える人は、緑の甍、朱の玉垣、金銀の柱、朱欄干、瑪瑙の階、花唐戸。玉楼金殿を空想して、鳳凰の舞う竜の宮居に、牡丹に遊ぶ麒麟を見ながら、獅子王の座に朝日影さす、桜の花を衾として、明月の如き真珠を枕に、勿体なや、御添臥を夢見るかも知れぬ。よしそれとても、大慈大悲、観世音は咎め給わぬ。

さればこれなる彫金、魚政はじめ、此処に霊魂の通う証拠には、いずれも巡拝の札を見ただけで、どれもこれも、女名前のも、ほぼその容貌と、風采と、従ってその挙動までが、朦朧として影の如く目に浮ぶではないか。

かの新聞で披露する、諸種の義捐金や、建札の表に掲示する寄附金の署名が写実である時に、これは理想であるといっても可かろう。