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しゅんちゅう
春昼・春昼後刻
泉 鏡花
Read 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 51,079 characters · 102 screens
二十七
」
「それにしても、私と極めたのは、」
と思うことが思わず口へ出た。
これは些と調子はずれだったので、聞き返すように、
「ええ、」
二十七
「先刻の、あの青大将の事なんでしょう。それにしても、よく私だというのが分りましたね、驚きました。」
と棄鞭の遁構えで、駒の頭を立直すと、なお打笑み、
「そりゃ知れますわ。こんな田舎ですもの。そして御覧の通り、人通りのない処じゃありませんか。
貴下のような方の出入は、今朝ッからお一人しかありませんもの。丁と存じておりますよ。」
「では、あの爺さんにお聞きなすって、」
「否、私ども石垣の前をお通りがかりの時、二階から拝みました。」
「じゃあ、私が青大将を見た時に、」
「貴下のお姿が楯におなり下さいましたから、爾時も、厭なものを見ないで済みました。」
と少し打傾いて懐しそう。
「ですが、貴女、」とうっかりいう、
「はい?」
と促がすように言いかけられて、ハタと行詰ったらしく、杖をコツコツと瞬一ツ、唇を引緊めた。
追っかけて、
「何んでございますか、聞かして頂戴。」
と婉然とする。
慌て気味に狼狽つきながら、
「貴女は、貴女は気分が悪くって寝ていらっしゃるんだ、というじゃありませんか。