Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しゅんちゅう
春昼・春昼後刻
泉 鏡花
Read 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 51,079 characters · 102 screens
十一
「死骸ですか、」と切込んだ。
「大違い、大違い、」
と、出家は大きくかぶりを掉って、
「註文通り、金子でござる、」
「なるほど、穿当てましたね。」
「穿当てました。海の中でも紅色の鱗は目覚しい。土を穿って出る水も、そういう場合には紫より、黄色より、青い色より、その紅色が一番見る目を驚かせます。
はて、何んであろうと、親仁殿が固くなって、もう二、三度穿り拡げると、がっくり、うつろになったので、山の腹へ附着いて、こう覗いて見たそうにござる。」
十一
「大蛇が顋を開いたような、真紅な土の空洞の中に、づほらとした黒い塊が見えたのを、鍬の先で掻出して見ると――甕で。
蓋が打欠けていたそうでございますが、其処からもどろどろと、その丹色に底澄んで光のある粘土ようのものが充満。
別に何んにもありませんので、親仁殿は惜気もなく打覆して、もう一箇あった、それも甕で、奥の方へ縦に二ツ並んでいたと申します――さあ、この方が真物でござった。
開けかけた蓋を慌てて圧えて、きょろきょろと其処らしたそうでございますよ。
傍にいて覗き込んでいた、自分の小児をさえ、睨むようにして、じろりと見ながら、どう悠々と、肌なぞを入れておられましょう。