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しゅんちゅう
春昼・春昼後刻
泉 鏡花
Read 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 51,079 characters · 102 screens
響の応ずるが如きその、(はあ、私けえ)には、聊か不意を打たれた仕誼。
「ああ、お爺さん。」
と低い四目垣へ一足寄ると、ゆっくりと腰をのして、背後へよいとこさと反るように伸びた。親仁との間は、隔てる草も別になかった。三筋ばかり耕やされた土が、勢込んで、むくむくと湧き立つような快活な香を籠めて、しかも寂寞とあるのみで。勿論、根を抜かれた、肥料になる、青々と粉を吹いたそら豆の芽生に交って、紫雲英もちらほら見えたけれども。
鳥打に手をかけて、
「つかんことを聞くがね、お前さんは何じゃないかい、この、其処の角屋敷の内の人じゃないかい。」
親仁はのそりと向直って、皺だらけの顔に一杯の日当り、桃の花に影がさしたその色に対して、打向うその方の屋根の甍は、白昼青麦をる空に高い。
「あの家のかね。」
「その二階のさ。」
「いんえ、違います。」
と、いうことは素気ないが、話を振切るつもりではなさそうで、肩を一ツ揺りながら、鍬の柄を返して地についてこっちの顔を見た。
「そうかい、いや、お邪魔をしたね、」
これを機に、分れようとすると、片手で顱巻をり取って、
「どうしまして、邪魔も何もござりましねえ。