Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しゅんちゅう 

春昼・春昼後刻

泉 鏡花

Read 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 51,079 characters · 102 screens

Aozora Bunko

)

爾晩は貴下、唯それだけの事で。

翌日また散歩に出て、同じ時分に庵室へ帰って見えましたから、私が串戯に、

(雪舟の筆は如何でござった。)

(今日は曇った所為か見えませんでした。)

それから二、三日経って、

(まだお天気が直りませんな。些と涼しすぎるくらい、御歩行には宜しいが、やはり雲がくれでござったか。)

(否、源氏の題に、小松橋というのはありませんが、今日はあの橋の上で、)

(それは、おめでたい。)

などと笑いまする。

(まるで人違いをしたように粋でした。私がこれから橋を渡ろうという時、向うの袂へ、十二、三を頭に、十歳ぐらいのと、七八歳ばかりのと、男の児を三人連れて、その中の小さいのの肩を片手で敲きながら、上から覗き込むようにして、莞爾して橋の上へかかって来ます。

どんな婦人でも羨しがりそうな、すなおな、房りした花月巻で、薄お納戸地に、ちらちらと膚の透いたような、何んの中形だか浴衣がけで、それで、きちんとした衣紋附。

絽でしょう、空色と白とを打合わせの、模様はちょっと分らなかったが、お太鼓に結んだ、白い方が、腰帯に当って水無月の雪を抱いたようで、見る目に、ぞッとして擦れ違う時、その人は、忘れた形に手を垂れた、その両手は力なさそうだったが、幽にぶるぶると肩が揺れたようでした、傍を通った男の気に襲われたものでしょう