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しゅんちゅう
春昼・春昼後刻
泉 鏡花
Read 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 51,079 characters · 102 screens
そこで、何か見極めたい気もして、その平地を真直に行くと、まず、それ、山の腹が覗かれましたわ。
これはしたり! 祭礼は谷間の里からかけて、此処がそのとまりらしい。見た処で、薄くなって段々に下へ灯影が濃くなって次第に賑かになっています。
やはり同一ような平な土で、客人のござる丘と、向うの丘との中に箕の形になった場所。
爪尖も辷らず、静に安々と下りられた。
ところが、箕の形の、一方はそれ祭礼に続く谷の路でございましょう。その谷の方に寄った畳なら八畳ばかり、油が広く染んだ体に、草がすっぺりと禿げました。」
といいかけて、出家は瀬戸物の火鉢を、縁の方へ少しずらして、俯向いて手で畳を仕切った。
「これだけな、赤地の出た上へ、何かこうぼんやり踞ったものがある。」
ト足を崩してとかくして膝に手を置いた。
思わず、外の方を見た散策子は、雲のやや軒端に近く迫るのを知った。
「手を上げて招いたと言います――ゆったりと――行くともなしに前へ出て、それでも間二、三間隔って立停まって、見ると、その踞ったものは、顔も上げないで俯向いたまま、股引ようのものを穿いている、草色の太い胡坐かいた膝の脇に、差置いた、拍子木を取って、カチカチと鳴らしたそうで、その音が何者か歯を噛合わせるように響いたと言います。