Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,562 characters · 291 screens
「ここへ使い来たのは、今日は二度目だろうね」
「いえ、今始めて参りましたが」
「一刻ばかり前に田原屋から来たのは、ありゃ誰だえ」
「そんなはずはありませんが」
「薬はこれで二度来たんだが、お前は知らないのかえ」
「とにかく、田原屋からは私の外に使いを出したはずはございません」
「…………」
平次は唸りました。
「浜田屋さんが寝る前に上げたいから、と手前どもの主人が申します」
そう言う田原屋の手代は、若くて正直そうで、何の策があろうとも思えません。
「とにかく、入って貰おうか。――少し訊きたいことがあるが」
平次はそう言って、表戸を開けさせました。
「あ、銭形の親分さんで」
「気の毒だが、筋の通らねえことがあるんだ。ちょいとここで待っていて貰おう」
平次は膠もなく冷たく言い切って、巳之松の持って来た薬包を開いて見ました。
同じように紺と白の二重包み。――これはその上丁寧に紙袋に入れて、「せんきの妙薬」と書いてあります。紙袋は小間物屋の店使いの品らしく、文字はまだ乾いていないところをみると、番頭の禿筆で、ちょいと走り書にして使いの者に持たせたのでしょう。
押し開けると手紙というのは半切が一枚。