Japanese reading practice

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,562 characters · 291 screens

Aozora Bunko

気軽に肩を叩きました。

「来ませんよ。旦那は留守だったし、店は早仕舞だし」

「いや、旦那が帰って、巳之松が出るまでの間だ」

「頬冠りをして、無精髯を生やした男が、店先でウロウロして、旦那に叱り飛ばされていましたが、それっきりですよ」

「有難うよ。――乞食には用事がない。誰も来なきゃ、それでいいのさ」

平次はそれっきり、振り向いても見ずに、帰ってしまいます。石橋屋へ行くと、久助は何がなし不安にさいなまれる様子で、ブルブルもので平次を迎えました。

「親分さん。――下手人は私じゃありませんよ。私は浜田屋さんから金を借りた覚えも、倅を養子に貰われ損ねたこともありません。お願いだから、変なことを考えないで下さいよ。私には親も子も、女房もありますから、ね」

こういった調子です。

「石橋屋さん。恐ろしく用心深いんで、私の方が面喰らいますよ。女房子があるから人を殺さないってわけにも行かないでしょうが、まアお前さんは大丈夫な口らしい」

「有難い、親分さん」

平次はそれを聞流して丸屋へ、――そこはまたとんでもない空気でした。

「やい、岡っ引め、俺が怪しいって吐かしたのは誰だ。冗談じゃねえ。