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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,562 characters · 291 screens
お町が可哀想だと思って乗り出したが、――入費は嵩んでも苦しゅうない――てな事を言う武家の紛々なんかに首を突っ込むのは嫌だ」
手の付けようがありません。銭形平次は全くこんな事を考えていたのでしょう。
その時――。
「親分、――お願い」
外から案内も乞わずに転げ込んだ者があります。
刷毛先を散らして左へ曲げた、色の浅黒い兄哥。唐桟の胸をはだけて、掛け守袋の紐と、腹帯に呑んだ匕首の脹らみを見せようといった種類の人間です。
「何でえ。吃驚するじゃないか」
ガラッ八は以ての外の顔を出しました。
「命に拘わる大事だ。済まねえが銭形の親分に逢わしておくんなさい」
「平次は俺だが、――お前は」
八五郎の後ろから顔を出した平次を見ると、
「有難え。これで死んでも浮ばれるというものだ。あっしは浅五郎というケチな野郎で――」
「あッ、お町の」
平次もガラッ八も驚きました。まさか、兵庫の眼を楊弓で射たと思われている、浅五郎が飛込んで来ようとは思わなかったのです。
「へッ、お町の阿魔がお世話になったそうで、あっしからもお礼を申します」
「そんな事はどうでもいいが、何だってここへ飛込んで来たんだ」