Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,562 characters · 291 screens

Aozora Bunko

「フーム」

平次は唸りました。

「その忍び返しは外せますよ」

「えッ」

振り返ると後ろへ、妾のお糸が立っているではありませんか。

「町内の子供達がよく乗り越して遊んでいますが、その木の根の上に登ると、頭の上の忍び返しが三尺ばかり外れるんです。塀の中には、古石塔で足場が拵えてあるそうですよ」

「なるほど、――そんな事もありそうだ。八、登ってみな」

「ヘエ――」

八五郎は木の根に登って、忍び返しに手を掛けると、なるほどそのまま外れて、楽々と乗り越せるように出来ているのです。

「八、提灯をやろうか」

平次の出した提灯、それを受取って塀の向う側を照していた八五郎は、

「親分、古石塔で段々が拵えてありますぜ。おや?」

頓狂な声を出します。

「何だ、八」

「手拭が落ちていますよ」

「拾って来い」

「ヘエ――」

八五郎は寺の境内へ飛降りましたが、しばらくは帰って来ません。

「どうした、八。手拭を買いに行ったんじゃあるまいな」

「向うへ行ってみましょうか、――寺の門まで見通しですが」

塀の向う側から八五郎が言います。

「無駄だ、引返す方がいいよ。寺の外は往来だ、曲者がその辺でマゴマゴしているものか」