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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 141,130 characters · 288 screens

Aozora Bunko

が、事件の破局を見るために、そんなに待っている必要はありませんでした。

翌る朝。

「親分、両国に殺しがありましたよ、すぐ願います」

バラ撒くように網を張っていた下っ引が、平次の寝込みを驚かしたのです。

「どこで誰がやられたんだ」

「朝野屋の親爺ですよ」

「あッ、とうとう」

「不思議なことに、水茶屋の中で、もう一人浪人者が殺されていますよ」

「そいつは大変だ」

平次は手早く用意をして、飯も食わずに飛び出しました。

両国へ行ってみると、まだ時刻が早いので大した人立ちもせず、

「親分、どうしましょう、父さんが――」

お秀の熱っぽい眼が入口に迎えて、何やら平次に訴えます。

「気の毒だが、こんな事にならなきゃいいがと思っていたよ」

「親分はそんな事まで見抜いていたんですか。それじゃ、どうして用心させて下さらなかったんです」

お秀は平次に食ってかかりそうでした。

「それが出来なかった、――どれ、見せてくれ」

平次は事件に触れたくない様子で、お秀をかきのけるように入りました。

「親分、お早う」

「八か。大層早かったんだね」

「こんな事にならなきゃいいがと思いましたよ」

「口真似をするな」