Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

二三分のところで平熱にならない日があったり、時々まだ劇しい頭痛が再発したりした。佐々は、初めての日こそ勇み立って次の間まで出て来たが、翌日から、洗面所へ立つだけでやはり終日臥床していた。しかし、いずれにせよ恐ろしい時は過ぎ去った。いろいろな人々が彼の寝台の周囲に出入りしはじめた。笑声もした。茶器が運び込まれる。伸子は、最も恐怖や不安や必要に満ちていた時は自分達から遠のき、鳴りを鎮めていた世間が、再びさり気なく姿を現したのを見る、一種の清新さと皮肉とを、日常生活の復帰から感じた。

このごろ、朝の寒さはなかなか厳しい。伸子は気疲れが出た故か、毎朝床離れが辛かった。十分眠った筈なのに、目が醒めても筋肉が弛緩しているのを感じ、背中がベッドに貼りついたように起き上り難い。昼近くまでぐずついていることがあった。そういうある朝、伸子は勇気を出して、七時少し過ぎに床を離れた。どうしても九時までにBカレジに行かなければならなかった。前日、学生の指導をしているローレンス教授から葉書が来た。十五日も前に、英文学と社会学を聴講する届をしたきり父の病気で放ってあった。それらの細目について話したいから来いと云う通知なのであった。