Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
……江戸の御金蔵からさえ、千両箱の四つも担ぎ出した刑部だが、ああ、病気にゃ剋てねえ」
と、すぐ仰向けに寝てしまった。
みじんの愛情も感じないのに、もう十何年も、お袖は刑部のそばに暮してきた。今もって、厭で厭でならないのに、どうして一緒にいるかも、かの女自身、わからなかった。
お燕を、育てたいために。それもあった。だが、何よりは、刑部にそむくときは、すぐ生命に危険があった。こう喘息もちで病臥しているが、この男には、今でも、江戸中にたくさんな同類や手下がある。
江戸城の金蔵絵図を手に入れて、根気よく、機会をうかがい、ついに城内から莫大な金を盗み出したことは、同類中の畏敬をあつめている所以で、刑部は、その金をもつと、仲間をも賑わしたが、
(もうこれで、一生食うんだ)
と、寺侍の株を買い、以来、ぷつんと、ひき籠ったきり、世間のうわさを避けていたが、その坐食の資本も、去年あたりで、涸渇してしまい、同時に、病気がちになっていた。
金がなくなると、一度しめた味が思い出された。刑部は、寝床の中で、悪智をえがき、堀留の山善へ目をつけた。まずお袖とお燕を、大身の奥の女性に仕立てて、二度ほど、山善へ買物やら注文に出かけさせた。