Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
自己の詮議
自己の詮議
ここ十数日の南町奉行所は、異様な緊張にとざされていた。
まだなんの発表もなされたわけではないが、たれいうとなく、堀留五人組強盗は、南の手によって、召捕られたと、江戸中に聞えて、北町奉行との対立に、興味をいだいていた市民たちは、
「南も、やりましたね」
「やッたねえ。大岡様も」
と、黒ボシつづきの負け組に一点入ったような、新しい感興をもって、噂まちまちであった。
しかし、南町奉行所自体の内部には、決して、そんな浮わついた昂奮もなく、凱歌もなかった。むしろ何か、その日以来、一抹の墨気を刷いたような冷たいきびしさが、古い巨大な建物の全面にただよい、内部の吟味所、書記溜り、与力控え、また奉行の居室を初め、どこを窺っても、しいんと、張りつめた静けさだった。
きょうも越前守は、一室を閉てきっていた。
うずたかき書類を、身辺に置き、そばには、目安方の小林勘蔵、吟味方の市川義平太の二与力をおき、この二人も、各※(二の字点、1-2-22)、小机に倚って、調書の整理や探究に他念がない。
宛として、ここは一つの犯罪研究室。
三与力の一名、山本左右太は、なお外部にあって、目明しの辰三や半次を手足に、ここから命ぜられる多方面な調査の資料蒐めと、探索とに、あれ以来も、休みなしに活動している。