Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme

Aozora Bunko

生きがたみ

と、お燕は、その手に、しがみついた。手と手の間に、珠を争うように、印籠が、揉まれた。

ぱんと、重ね蓋が、口をあいた。そしてその中から、お守護札のように小さく畳んだ紙きれが膝のあいだに落ちた。

お袖は、印籠を離して、それへ手を走らせた。だが、お燕の手の方が、骨牌の札をとるように、すばやく拾って、袂の蔭に手をかくしてしまった。

生きがたみ

「まあ、よしなよ。舟が揺れるじゃねえか。母娘喧嘩なら、帰ったあとで、ゆっくりやるさ」

大亀と三平は、むりに、ふたりをひき離した。

お燕は泣く。お袖も涙ぐむ。

「一体ぜんたい、泣くたあどういうわけなんだい」

わけがわからない他人同士は、顔見あわせてそういった。

お燕はまだ小さい紙片を、袂の蔭でにぎっている。理由は、印籠そのものよりも、あるいは、紙片の方にあるのではないかと、大亀が、試しにそッと、お燕の手へ触れてみると……お燕の指も、強いて拒みもしなかった。指を解いて、

「なんだい? それは」

赤螺三平も、顔をよせた。幾つにも折れている小さな紙は、大亀の手でひらかれた。それには、仮名書きの墨あとも淡い文字のあとが、こう読まれた。