Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
お袖は、行燈へ灯を入れながら、ふと、朝からそこにおいてある蝿除けをかけたままの膳を見て、味噌久へ、舌打ちしていった。
味噌久は、三ツになるお袖の子のお燕をあいてに遊び相手になりながら、物干し台で川風にふかれていた。
「ほんとに、どうしたんだろう。もう、日が暮れるっていうに」
ゆうべ別れた大亀と阿能のあれからを想像して、味噌久はふと夕雲に、不安な眼をあげた。
「さ、お燕ちゃん、お行水を浴びようね。いいお子だから。……ネ。ネ。おしろいつけてきれいきれいに、お化粧しましょ」
お袖は、子どもを抱きに来た。そして台所の軒下に、雨戸を横にして囲った盥の湯へ、自分も帯を解いて白い肌をかくした。
夕闇にこぼれる、湯の音にまぎらして、
「オオ、きれいにおなりだこと。こんなよいお子になったのに、お燕ちゃんのお父さまは、なぜこんな可愛いお顔を見に来ないんでしょ、お燕ちゃんも、お父さんに会いたかろうにね」
聞く人もなしと思ってか、若い母親は、無心なこと神のような肉塊をあいてに、心のうちのものを、戯れのようにいいぬいていた。
物干しのてすりに暮れ沈んでいた味噌久は、小耳にはさんで、身につまされ、