Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
「じゃあ、折角の、お奉行の職も、退かねばならぬではないか。大岡どのの、御謙虚はわかるが、自身の使命の大を、自覚しておいでにならぬ。残念じゃ。わしが、御意見申して、さような小乗的なお考えはひるがえしてもらおう」
「そうは参りませぬ。あのお方が、ひとたび、こうと思い極めたこと、決して、うごくものではございませぬ」
いわれてみれば、楽翁にも、自信はない。
「しからば、そち達は一体、この難問題を、どうして、越前守様のお身にも、つつがなきよう、始末いたす考えか」
「何の、考えも、ありませぬ」
「思案なしか※(疑問符感嘆符、1-8-77)」
「ただ、越前守様の御意志のままに、誠意をつくして、やるだけです。――決して、私心に眩むなよとは、平常もですが、このことについても、固く申し渡されたことでした。……ですから、もし越前守様の御面目上、御切腹とあれば、まことに不孝の罪をかさねますが、私も、また小林勘蔵も、山本左右太も、座をならべて、自刃いたすつもりです」
「よろしいっ」
楽翁は、もう反対しなかった。非常に大きな眼と、おもわず出た声とに、かれも覚悟をこめて、いい渡した。
「それ程まで、公明に、自己の裁きも、天の処罰もというなら、大いにやれ。