Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
善意の敵
しかし、その後、いつまでも、白洲は人影にみだれ、騒然たる気配の中に、お袖の叫び声がやまなかった。しかしそれも悲痛な泣き声に変り、やがて揚屋路地の方へ引っ立てられて、程なく糸のように遠くなって消えた。
善意の敵
暁に就寝して、目をさましたのは、午近くであった。
越前守は、熟睡した。
嗽い、食事、着服などをすまして、すぐ役部屋に臨む。
ここに坐ると、所内の空気が、すぐわかる。
今朝の奉行所内は、ただならぬ動揺をもっていた。中に、幾つかの部屋は、氷室のように、しいんとしている。
小林勘蔵、山本左右太、市川義平太など、それぞれのいる役部屋だ。
奉行の周囲にも、一般の公事訴訟の事務は山積している。同様に、各与力部屋も、忙しいはずだった。事件は決して、お袖のこと一つではない。
「勘蔵を――」
と、越前守は、まず目安方の彼をよんで、今日の処理すべき日程を聞き、程なく、平常のように白洲へ出た。
幾つかの、裁決をすまし、午後、独りで茶をたてて、静かに一ぷく服んでいると、医師の市川楽翁が、訪ねて来た。
「来たな……」と、思いながら越前守は、老人の坐るのを待った。
「お奉行。