Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
「おかしいこと。市十郎さまは、このごろ……もう一年も二年も、まったく外へお出になったことはないのに」
「いえいえ、お嬢さま」
と、味噌久はあわてて前言を打消し――
「よくお目にかかったのは、以前のことで、近頃は、おてがみなどで、これこれの書物が、もし売物に出たら、ぜひ持参せいと……。はい、おことづてを、いただいておりましたんで」
「そうかえ」
――お縫は、小首をかしげたのち、
「じゃあ、御門をはいって、左り側の脇玄関から、用人にいって、取次いでおもらい」
「そこを、お嬢さまからひとつ、もう一ぺん、若旦那さまへ、じかにお取次を、おねがいできませんでしょうか」
「おや、なぜ」
「あの御用人のお年寄が、何か、勘ちがいなすったとみえて、先程、お取次をねがったところ、市十郎さまは、そんな書肆は知らぬと仰っしゃるッて、お断りをくッちまったんです」
「だって、御存知なのだろう。おまえ」
「ええ、それやアもう、お馴染み顔。お会いいたせば、一も二もございませんが……。こう仰っしゃっていただけば、なお、すぐにお分りでございましょう。――久助と申す者で、以前は、味噌屋のせがれ、京橋尻の梅賀さんのお家などで、チョイチョイお目にかかっていた者だと」