Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
血と泥とに塗れて
「…………」
「その大事な殿御を、お夏様に譲ってなりましょうか、お夏様は僅か十年の許嫁なら、私の方は五百年越の契りでは御座いませんか、お腹が立つなら、存分に遊ばせ、サア」
梅仙女は斯んな事を言って、その柔かい身体を、クネクネと三十郎に凭れかけます。
「私には判らぬ、何が何んだか少しも判らぬ」
少し酔の発した額を叩いて、三十郎は恐悦するばかりです。
「ですから、何うなと遊ばせ、サア、何うなと」
両手を三十郎の首に巻いて、香ばしい唇が、三十郎の眼の前に、毒の花のように咲きこぼれます。
二人は爛酔と溺惑とに性も他愛もありませんでした。八百歳の妖女は、女郎蜘蛛のように三十郎を囚えて、その綾糸ですっかり巻き込んでしまったのです。
血と泥とに塗れて
「野郎、起きろッ」
枕を蹴られて、江柄三十郎はハッと眼を覚しました。
「何者ッ」
押っ取刀で起ち上ると、鼻の先に立ったのは、背の高い若い武士、
「お疲れだろう、お前もそうして、精気を吸い取られて死んで行くのだ」
皮肉な冷笑が、武士の口辺に小波の如く漂います。
「何を言う、無礼をすると許さんぞ」
「ハッハッハハ、まだ眼が覚めないか、梅仙女の長寿の秘訣は、血気盛んな若い男をたぶらかして、その精魂を吸い取るのだ、一年に三人位ずつ、犠牲にされた男は、蜘蛛の巣に掛った虫のように、カラカラに乾いて死ん