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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

最初私は、妙子が香水を振り掛けて居るのだろうと思いました。が、直ぐ、何んな高貴な香水にも、この様な素晴らしい魅惑的な匂いを発するもので無いということに気が付きました。全くこんな縞目もわからなくなったような汚い袷に香水を振りかけたところで、高雅な魅惑的な匂いなどが醸せそうな筈もありません。

間もなく私は、この不思議な美しい匂いが、先刻モデル台の上に妙子を押し上げた時も発散した事に気が付きました。

「妙子さん、少しも怖がることは無い、今までは随分骨を折ったらしいが、これからはいくらか楽に暮せるでしょう、機嫌を直して、此処へ来て御覧なさい」

自分から進んで此処まで来た事を考えると、私もいくらか大胆になります。妙子の冷たい小さい手を取って、尻ごみするのを無理に、私と同じ長椅子の上へ、二羽の鳩のように押し並ぶように掛けさせました。

私の仕立卸しの紺の背広と並んで、薄汚い袷を妙子はどんなに恥じたことでしょう。併し私から見ればそんな事は、まるっきり問題ではありません。

先刻から部屋の中に薫じて居た微妙な匂いは、外ならぬ妙子の、体臭だということを私は発見したのです。