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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

振袖を抱いて深讐の家へ

鐘は左まで大きくないと言っても、人間一人を呑んだ位ですから、薄いところでも肉が二寸あまり、或は三寸もあったでしょう、それを楽々と貫いた手練は実に恐る可きものです。

引き抜くと穂先にはベットリ血汐。

「手応は充分、大急ぎで鐘を起して貰い度い」

高蔵人は、血染の手槍を毘沙門突に斯う言います。

振袖を抱いて深讐の家へ

相生家の小者が多勢たかって、漸く鐘を引き倒したのは、かれこれ寅刻近くなってからでした。その下から現れたのは、半面斑の見るからに恐ろしい怪獣と思いきや、昨夜のままの、藤色の大振袖を着て、痛々しくも紅に染んだ美少年の姿です。

人間に化けた怪異は、陽に照されれば本来の姿を現すと言いますが、不思議なことにこれは、昇る朝日に赤々と照されても、狸にも獺にもなりません。少し物足らない心持で、苦痛に引き歪められた若衆の顔を見て居る内に、

「どうも見た事のある面だ」

などと言い出す者があります。

段々調べて見ると、見たことがあるも無いもありません。相生家に久しく仕えた厩番で、綾吉と言う若者の変装姿に紛れもなかったのです。

「やァ、お前は綾吉じゃないか、何んと言う変な風をするんだ」