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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

血潮の呪い

血潮の呪い

身につまされたか、総左衛門も、今は顔を挙げる気力もありません。鐘楼を取り巻く雇人小者達は、深い仔細は知らず、朝陽の中に描き出された、この劇的情景を何時までも見詰めております。

「桜子様はあの通りの変った気質、金にも器量にも、武芸にも心を犇かれる方ではありませんが、母の形見の振袖を着て、乏しいお小遣で手に入れた、能装束の袴を着け、浅ましい薄化粧までして、妖怪変化の心持で通った私がお気に召して、相手を怪異とも人間ともわからぬ心持乍ら、深い契りを重ねました。廊下に付けた足跡は、両国の獣肉屋で手に入れた、貉の足のからくり――そんな事までして私は、お嬢様の並々でない物好きな心持を掴んだので御座います」

「…………」

「お嬢様はもう、昔々旦那様から、身分違いと言って捨てられた者の子の種を宿しました。これで、母の怨みは報いたも同じこと――、それに、私の怨みも、何時の間にやら恋心に変って、今ではお嬢様を心からいとしいと思うようになりました。殺されても、もう惜い命では無い――」

綾吉の話は其処でプツリと切れました。折から、鐘楼の段々を、取り乱した姿で、美しい桜子が駆け登って来たのです。