Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
明るい電灯の下で顔を見合せて、私はもう一度驚きを新たにしました。この女の美しさは、全く法外です。身装も月の光で想像したより悪くは無く、年の頃は二十一、二、どうかしたらもう少し若いかも知れませんが、存分に豊満な肉付きで、咲き切った花のような美しさが、五体の一線一画にも溢れ切って居ります。
第一、その悩殺的な媚態が容易ではありません。顔の表情にいくらか知識的なところもありますが、珍らしく蠱惑的な肉体の持主で、身体を動かしても、物を言っても、青春の悩ましい美しさが、陽炎のように撒き散らされそうな気がするのです。
これが、今死のうとした女だったでしょうか――。
あまりの事に私は、躾みも忘れて、美しい顔を魅入られたように見詰めて居りましたが、漸く気が付いて、
「お名前は」
斯う言うのがやっとでした。
「香川礼子」
「お国は?」
「東京、それもツイ其の辺です」
日本橋あたりの灯の海を指し乍ら、自分でも可笑しかったか、ニッコリ首をかしげます。
「僕は此のビルディングの八階に事務所を持って居る――」
名乗りかけるのを押えて、
「存じて居ますワ。望月晃さんと仰しゃるのでしょう」