Japanische Klassiker mit Furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
がこれはどうしたのであろう、その色があせて花弁が縮れて、みすぼらしくはなっていたが、二束あまりの牡丹桜の、花がかたまってくっついていた。もろくもなっているのであろう、絶えず風にホロホロと散る。
「なんだか心が滅入って来た」嘉門は花を見上げたが、ふと寂しそうにつぶやいた。「季節に遅れてはかたなしだ。なんてみすぼらしい牡丹桜だ! 盛りが花やかであっただけに、衰えた今が、よりみじめだ。……うっかりしてはいられない。俺といえどもこうなるかもしれない」しかしにわかに笑い出した。「なあに、俺は大丈夫だ! 怒りを心に持っている。そのうちに愚昧の連中を、一人残らず吹き飛ばしてみせる。まずそれまで辛抱さ」しかしやはり寂しそうであった。いつか肩がうなだれて、顔が地面へ向いている。その肩の上に日がさして、その日の中の肩の上に、散った花弁が止まっている。
「これが、いけないといっているのだ」はねるように嘉門は幹から離れて、元気よく庭を彷徨い出した。「時々に起こってくる鬱ぎの虫! これが、いけないといっているのだ。……無理にも元気にふるまうがいい。さて元気だ! 元気を出して謡え!」