Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

むすめえんじゅつし

娘煙術師

国枝 史郎

Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme

Aozora Bunko

大川の流れはかなりゆるやかで、そうして水上は暗かった。

しかし対岸の西両国には、華やかな光がともっていた。船宿だの料理屋だの水茶屋だのが、岸に並んでいるからである。水へ向いた室々の窓や障子に、燈火の光が橙色にさして、それが水面に映ってもいた。

三味線の音などもまれまれに聞こえる。

二隻の屋形船はすべって行く。

石置き場のほうへ行くのである。

大川を右へそれたならば、一ツ目橋となるであろう。一ツ目橋の袂から、水戸様石置き場へ上がることができる。

こうして三人を乗せたところの、燈影の暗い屋形船が、一ツ目橋のほうへそれようとした時に、一つの意外な珍事が起こった。

浪人者の乗っている、燈火のついていない屋形船から、一本の小柄が投げ出されて、三人の兄弟の乗っている、屋形船の障子をつらぬいて、薄縁の上へ落ちたことである。

その柄に紙片が巻きつけてある。

「私情から申しても怨みがござる。公情から申せば主義の敵でござる。貴殿に闘いを宣するしだい、ご用心あってしかるべく候。――桃ノ井久馬の息兵馬より山県紋也殿へ」

紙片に書かれた文字である。兄上と呼ばれた青年の武士は、さすがにその眼を険しくはしたが、躊躇しようとはしなかった。