Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
絵を描くことに油が乗っている時には妙に文章が書けなくなる。文章に興味を感じる時絵を描く神経は鈍る。病院にも内科外科婦人科の別ある如く、その係りがちがっているのだと思われる。
絵の仕事で夢中になっている時には人との約束や義理人情を多少踏み潰してもかなり平気でいられる。また他人も了解してうるさい用件を持ち込まない傾向もある。あんな男に頼んでも駄目だと見当をつけるのだろう。
絵を描く方の神経が鈍っている時に限って手紙が書けたり他人のことが気にかかったりする。いらない返事まで出してみたりしてみそをつけたり、いらない世話をさされたりする。よその人情が気にかかって捨てておけなくなるのだ。他人もついそれにつけ込んで来る。やはり絵描きは多少不人情に見えてもいいから、少しの隙も見せない方がいいと思う。
世話といえば他人の絵を批評したり、見てやったり、見せられたり、することは危険な仕事である。いいものは日に何十枚観賞しても結構だが、自分の力以下の絵を日に一枚ずつ見てさえも地獄へ陥ちて行く気がして堪らない、すでに私は地獄行きの切符を買って帽子のリボンへはさんでいるようだ。