Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ならしげざっぴつ

小出楢重随筆集

小出 楢重

Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme

Aozora Bunko

私などは上等のものも勿論好きだが、あらゆる下等なものに対してより多くの親しみを感じる事が出来る。それは一つには、私が純粋の大阪の町人に生れ、道頓堀に近く、何んとなく卑近なものにのみ包まれて育ったがために、高貴上等の何物も知らなかったという点もあると思われる。私の心に当時沁み込んだいろいろの教育資料は、悉くこの下手ものばかりだったといって差支えない。

学校で一体私は何事を教わったかを忘却したが、この下手なる教材の多くを私は忘れ得ないのだ。それが一生涯、私の血の中を走っているような気がする。

例えば父は、浄るりを語っている、母は三味線を弾く、夜は夜店を見てあるく。そして、太鼓まんじゅうと、狐まんじゅうと、どら焼きを買って帰る、丁稚小僧と花合せをして遊ぶ、時々父は私を彼が妾宅へ連れて行く。その家の戸口には、角行燈がかかってあり御貸座敷と記してあった。

そこでは「ぼんぼん、ええもの買うてあげまよ」といって芸妓と仲居が私を暫くの間、芝居裏の細道をうろうろと何かなしにつれて歩くのだ。そして何か一つ玩具を買ってもらう訳だった。やがて父は、さあ帰ろうといって私の手を引くのだ。