Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
私はそれが何をしに来たものか、この酒と酒を温める湯と、妙な臭気の立つ処の、しかも何か華かな心を起さしめるこの家が何屋で何をするうちか知らなかったが、それを会得するのには中学程度の知識が必要だったと見え、十五、六歳に及んでうすぼんやりとなる程度、ははんと気がついた。
しかし、そこで私のたべさされた桃などは、とても家庭でたべるものとは比較にならない上等の品だった。今考えると、水蜜桃らしかった。何しろ口中で甘い汁がどっさりと出て直ちに溶解してしまうのだから素敵だ。綺麗な鉢に盛られてさアぼんぼんお上りといって出されるのが何よりの楽しみなんだ。それに皆が大変よくしてくれるので、私は幸福な家だと思った。ところがまた妙に大切にしてくれる処が気に食わぬ処もあった。
それにも一つ、ここへ来ると、あまりに女の人たちが美し過ぎるのと、大礼服を着用しているのと、それらが強い香気を放って、妙に私の心を騒がせるのがきまり悪くて堪らなかった。それに彼女らは、よってたかって学校でもどこでも、聞かされた事のない会話を喋るのだ。そして、さアぼんぼん、もう水あげすんだといって勝手に喜んでいたりするのが、私に諒解出来ないのだが、何かその臭気や大ぜいの女の色彩や電燈の光が交って私の心をときめかすだけの役には立ったと思う。