Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
たのだ、私はこれはあまりだと思って、二、三度強く足踏みをして見たが、何の反応もなかった、とうとう、十貫目と相場が定ってフラフラと下宿へ帰った事があった、それ以来なるべく計量器には乗らぬように心がけている。
胃のサボタージュのひどい時にはしばしば脳貧血を起すものだ、脳貧血はところ嫌わず起るものだから厄介だ、私はこの脳貧血のために今までに二度行路病者となって行き倒れたことがある。一度は東京の目白のある田舎道で夜の八時過ぎだった、急にフラフラとやって来て暗い草叢の中へ倒れた、その時は或る気前のいい車屋さんに助けられたものだった、その時の話は以前広津氏が何かへ書いたことがあるからそれは省略するとして、今一つは奈良公園での出来事だった。
私は朝から胃の重たさを感じながら荒池の近くで写生していた、例によって昼めしなど思い出しもしなかったのだ、その日は私の一番いやなうす曇りのジメジメとした寒い日だった、午後三時ごろであったか、七ツ道具を片づけて或る坂をば登りつめたと思うころ急に天地が大地震の如くグラグラと廻転し始め心臓は昂進を始めた。これはいけないと思う間もなく私は七ツ道具を投げすてて草原の上へ倒れてしまったのだ。