Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
五
健三は黙ってそのぱさぱさした手の平を見詰めた。
「でも健ちゃんは立派になって本当に結構だ。御前さんが外国へ行く時なんか、もう二度と生きて会う事は六ずかしかろうと思ってたのに、それでもよくまあ達者で帰って来られたのね。御父さんや御母さんが生きて御出だったらさぞ御喜びだろう」
姉の眼にはいつか涙が溜っていた。姉は健三の子供の時分、「今に姉さんに御金が出来たら、健ちゃんに何でも好なものを買って上げるよ」と口癖のようにいっていた。そうかと思うと、「こんな偏窟じゃこの子はとても物にゃならない」ともいった。健三は姉の昔の言葉やら語気やらを思い浮べて、心の中で苦笑した。
五
そんな古い記憶を喚び起こすにつけても、久しく会わなかった姉の老けた様子が一層健三の眼についた。
「時に姉さんはいくつでしたかね」
「もう御婆さんさ。取って一だもの御前さん」
姉は黄色い疎らな歯を出して笑って見せた。実際五十一とは健三にも意外であった。
「すると私とは一廻以上違うんだね。私ゃまた精々違って十か十一だと思っていた」
「どうして一廻どころか。健ちゃんとは十六違うんだよ、姉さんは。良人が羊の三碧で姉さんが四緑なんだから。