Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
三十一
それからしばらくして細君は先刻自分の枕元にあった一束の書ものを手に持ったまま、健三の前にあらわれた。
「先ほど御留守に御兄さんがいらっしゃいましてね」
健三は万年筆の手を止めて、細君の顔を見た。
「もう帰ったのかい」
「ええ。今ちょっと散歩に出掛ましたから、もうじき帰りましょうって御止めしたんですけれども、時間がないからって御上りになりませんでした」
「そうか」
「何でも谷中に御友達とかの御葬式があるんですって。それで急いで行かないと間に合わないから、上っていられないんだと仰ゃいました。しかし帰りに暇があったら、もしかすると寄るかも知れないから、帰ったら待ってるようにいってくれって、いい置いていらっしゃいました」
「何の用なのかね」
「やっぱりあの人の事なんだそうです」
兄は島田の事で来たのであった。
三十一
細君は手に持った書付の束を健三の前に出した。
「これを貴夫に上げてくれと仰しゃいました」
健三は怪訝な顔をしてそれを受取った。
「何だい」
「みんなあの人に関係した書類なんだそうです。健三に見せたら参考になるだろうと思って、用箪笥の抽匣の中にしまって置いたのを、今日出して持って来たって仰ゃいました」