Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
健三の父と島田との懸合について必要な下書らしいものが細君の手に渡された。細君は女だけあって、綿密にそれを読み下した。
「貴夫の御父さまはあの島田って人の世話をなすった事があるのね」
「そんな話は己も聞いてはいるが」
「此所に書いてありますよ。――同人幼少にて勤向相成りがたく当方へ引き取り五カ年間養育致候縁合を以てと」
細君の読み上げる文章は、まるで旧幕時代の町人が町奉行か何かへ出す訴状のように聞こえた。その口調に動かされた健三は、自然古風な自分の父を眼の前に髣髴した。その父から、将軍の鷹狩に行く時の模様などを、それ相当の敬語で聞かされた昔も思い合された。しかし事実の興味が主として働らきかけている細君の方ではまるで文体などに頓着しなかった。
「その縁故で貴夫はあの人の所へ養子に遣られたのね。此所にそう書いてありますよ」
健三は因果な自分を自分で憐れんだ。平気な細君はその続きを読み出した。
「右健三三歳のみぎり養子に差遣し置候処平吉儀妻常と不和を生じ、遂に離別と相成候につき当時八歳の健三を当方へ引き取り今日まで十四カ年間養育致し、――あとは真赤でごちゃごちゃして読めないわね」