Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme
一日に一本書けば一年に三百六十五本、算盤は確かだ――その上人間が大甘だが、腰抜け彌八字は上手で、巴屋の娘達は、手習いの手本にしようなどと、お互いに見せ合ったり、比べ合ったり」
「いい話だな、それは」
「これから寒くなるから、雨戸を閉めて休むからいいようなものの、夏場なんか、夜っぴてお隣の物干から覗かれちゃ、眠った気もしないそうですよ。もっとも腰抜け彌八は名前通り物柔らかだが、漁師崩れの網干七平と来ちゃ、同じ口説くんでも荒っぽいから大変で」
「――」
「うっかり湯の帰りが遅かったりすると、路地の入口に待ち構えて居て、いきなり抱きすくめて、頬っぺたを嘗めるんだそうで」
「悪い冗談だな」
「冗談じゃありませんよ。真剣だから気味が悪い――とこれはお半の話ですがね。熊の子のような背の低い、横幅の広い人間が飛出して来て、いきなり組付かれると、さすがの鉄火者のお半も、暫くは声が出ないそうですよ。ましてお萩や祭は何遍目を回したことか」
「――」
「もっとも悪戯と言っても、頬っぺたを嘗める位のことが精々――一度お神さんのお余野へやった時は大変だったそうで――いきなり頬桁を二つ三つ喰わせ、胸倉を掴んで家まで引摺って来た上、亭主の造酒助の前で謝らせたというから達者なものでしょう」