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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme

Aozora Bunko

四

縁側の隅に片付けた、お月見の供え物は、芒の穂まで泣き濡れたように萎れて、お団子が浅ましく陽に照されて居るのも、惨劇の後の痛ましさを強調するようでした。

「お嬢さんは?」

「隣の部屋ですが――案内して上げるがよい」

「ハイ」

依右衛門に言われて、お通は先に立ちました。後ろから見ると、三日ほど前に、曲者に髪を切られたばかりの頭は、辛くも撫でつけた毛が、後ろへフラフラと乱れて、浅ましい限りですが、襟首の美しさ、肩のあたりの素直さ、すべて色調の高雅なのと、線の交錯の品の良さで、その女を反って美しく見せるのは、まことに奇跡的でした。

四

これが娘の姿――と指された時は、物馴れた平次も思わず立ち縮みました。「大したきりょうでは無い」と八五郎は言いましたが、死の浄化のせいか、その清らかさは非凡で、可愛らしい眼にも、頬にも、少し開いた唇にも、何の苦痛もありません。

傷は背中から匕首の一と突きで、見事に心の臓を貫き、恐らく声も立てずに、瞬間的に娘の命を絶ったことでしょう。継しい中の若い母親――実は父の妾のお通が着せてやったという、大柄の銘仙の羽織は、袖畳みにして死骸の床の側に置いてあり、その上曲者が娘の背中に突っ立てたままの匕首は、血糊も拭わずに袷の上に置いてあるのも、妙に因縁事らしいいやらしさでした。