Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme

Aozora Bunko

四

四

八五郎の報告通り、それからが全く大変でした。

翌る日の朝、下女のお竹が雨戸を開けると、いつも早起の下男の勇太郎が、其辺に姿を見せないばかりでなく、門も開けず、庭も掃かず、もう陽が高くなって居るのに、自分の泊って居る、物置の隣の下男部屋の戸もそのままになって居るではありませんか。

「勇さん、又夜遊びかえ。冗談じゃない。もう昼だよ」

気象者のお竹は声を掛けながら、下男部屋の雨戸をガラリと開けましたが、

「わ、た、大変ッ。勇さんが、勇さんが」

と、思いおくところなく尻餅をついてしまったのです。

「どうしたんだ、騒々しいじゃないか」

飛んで来たのは、掛り人の喜八郎と、今起きたらしい、倅の久太郎でした。大地の上を泳ぎ回るお竹を掻きのけて、朝陽が一パイに入って居る、下男部屋を一と眼――、

「わッ、これは、どうしたことだ」

二人共、危うく踏留ったのも無理のないことです。

村越家の遠縁だそうで、無類の忠義者といわれた下男の勇太郎、目黒の在に生れて、草角力の関取だったという、此上もなく強健なのが、梁から落ちたらしい大臼に押し潰され、猿蟹合戦の猿のような恰好で死んでいたのです。