Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme
五
敵に素性を覚らせないため――」
振り返るとお春の春吉は、人ごみの後ろに、全身をふるわせて、大泣きに泣いて居るのです。
「春吉は取って十三、もう立派な男の子だ――村越家の惣領に間違いはありません、その子には、何んの罪もない、頼みましたぞ、銭形の親分」
「あ、待った」
平次は声を掛ける間もありませんでした。宗之助のお道が隠し持った匕首で、自分の喉へ、留めようもなく、ザブリと突っ立てたのでした。
お春の春吉は、此時漸く庇に掛けた梯子に思い付き、少し遠回りながら、屋根から二階の窓へ飛付き、死に行く男姿の姉に必死と縋りつきましたが、それは併し、停めようの無い、恐ろしい破局で、平次も手を拱いて見て居るばかりです。
五
朝になって、土地の役人や、百人町百兵衛に始末を頼み、平次と八五郎は、鬱陶しい心持で神田へ引揚げて居りました。
「変な殺しでしたね、親分」
八五郎はチョッカイを出して、黙り続けて居る平次に何やら説明を求めます。
「宗之助を女とは見破ったが、お春があべこべに男の子とは気がつかなかったよ。年頃の女の子には身体に何処か柔らかさがあって、どんなに荒っぽく振舞っても、優しいところがあるものだ」