Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme

Aozora Bunko

【第二回】

一

「井戸端に陣取って、一刻半も待ちましたよ。あの娘が井戸端へ出ると、長屋中まるで御来迎を拝むような騒ぎで」

「――」

「色白で、ポチャポチャして愛嬌があって、無口なのが玉に疵だが――」

「それがどうしたんだ、九尾の狐の化けたのか何んか――」

「冗談言っちゃいけませんそんな檜扇で品をつくる代物じゃありません。あっしは今晩から、姿をやつして、あの木賃宿に泊り込むときめましたよ」

八五郎は大乗気です。

「あ、いいとも――姿なんかやつすことがあるものか、平の維盛卿と間違えられる気遣いがあるものか、もっとも顎を少し引っ込めなきゃ、直ぐ八五郎と見破られる」

「からかわないで下さい。ところで、もう一つの頼まれのあの浪人者ですがね」

「あ、宇佐美敬太郎とか言った」

平次は膝を乗り出しました。

「たしかに竹町の浪宅に、下手な謡なんか唸って居ましたよ」

「顔を出して見たか」

「猿回しの信吉の妹なら、半日も御来迎を待って居るが、あの青髯じゃ付き合い度かあありませんよ。居ることがわかりさえすれば大したことはあるまいと――」

そんな八五郎の気楽さです。

【第二回】

一

池の端妙月庵を襲って、千両の祠堂金を奪い取った、凶賊黒旋風の手際は、平次の想像を飛び越えて、不可能を可能にしたように見えました。