Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme
二
もっとも祭とお萩に、歌を習っているということを口外せぬよう、堅く口留めして居たので、お房やお六やお半は、それを私から恋文でも貰うように思い込み、女心の浅ましさで、私も彌八郎から恋文を貰った、私も、私も――と、とうとう、この丹波彌八郎は三百何十本も恋文を書いたことにされてしまったのじゃ。――嘘だと思うなら、祭に訊いてみるがいい、あの娘はたった十七だが、学者の家で育てられて居るので、飛んだ文字のある娘じゃ」
彌八郎はそう言って、板塀の彼方、巴屋の方を見やるのでした。
銭形平次はこの時ほど、染々と敗北感を味わったことはありません。お萩の脳天を砕いたり、お房の背後を刺したのは、どう間違えても此男らしくは無いのです。
二
「驚いたね、親分。あの腰抜け彌八が歌の先生とは」
「人を殺せる柄じゃないよ。それにあの桐の板に塗った墨は、膠のベトベトする馬糞墨だが、丹波さんの硯箱にあったのは、サラリとした、匂いの良い唐墨だ」
平次と八五郎は、空地の外へ、自身番の前まで出て居りました。
「でも、歌を作るから、人を殺さないとは限らないでしょう」
「それも一と理屈だが、お萩の頭を割ったのは、どう考えてもあの人じゃ無いよ」