Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme

Aozora Bunko

【第三回】

一

「その窓も念入に閉めてあった筈です。右左の桟の外に、下にも桟があって外からは打ちこわしでもしなければ開きません。それが何処にもこわれた跡が無くて、中から開いて居りますが――」

それは全く奇蹟という外は無かったのです。が、間もなく夜があけると、誰も休んでいない奥の六畳の縁側の雨戸の上、幅五寸ほどの狭い欄間が開いて、明かに其処の上の埃が乱れて居り、注意して見ると、またもや異様な毛が、ほんの少しではあるが欄間の上下の敷居に付いて居るのでした。

「おや、又猿の毛じゃありませんか」

梯子を掛けてそれを見窮めた八五郎は思わず大きい声を出しました。

「黙って居ろ、八」

平次が停めたがもう及びませんでした。

「それ、拙者が言わないことじゃない」

と浪人宇佐美敬太郎が好奇きらしい顔を出すのでした。

「兎も角も、宮永町の木賃宿に行って、猿回しの信吉兄妹を見て来てくれ」

平次もそう言う外はありません。

【第三回】

一

「宮永町へ行って来ましたがね」

八五郎が機嫌の良い顔を持って来たのは、その日も暮れてからでした。

「昨夜あの――猿曳の信吉とか言った男は外へ出なかったのか」

平次はそれを迎えて、憂鬱な顔を挙げるのです。